【回想−哀愁の母娘−】34



一.

 数日後。

 凌辱ショーが行われるという地下の小ホール、その会場を目指す千佳を仲介
した男の車に俺は便乗していた。

「坂本さん、招待状も無くて本当に会場に入らせてもらえるのですか?」
「心配しなくてもいい、今日は特別に顔パスで中に入らせてもらえるはずさ。
それより今日のお披露目会には千佳も出演させるって本当だろうな」
「はい、数日前でしたか西村氏から突然連絡がありまして。 今度の披露会に
は千佳を出席させると報告がありました」

 仲介の男もあれ以来千佳の姿を確認していないそうだ。 さて、この男が変
わり果てた千佳の姿を見てどれだけ後悔するものなのかあらかしら俺には察し
がつく。

 数々の試練を乗り越えねばならない俺達。 若いこの仲介の男も経験を重ね
ていかねばならぬのだ。

 そうする内に西村らが主催する会場へと辿り着いた。

 顔が確認できぬほどの真っ暗な廊下。 足元灯を辿ったその突き当たりに受
付が設定してあった。

「そちらの方、招待状を見せてもらえませんか?」

 案の定、俺は第一関門で足止めをくらった。

「招待状は無い」
「え? 困りましたねお客さん。 招待状がなければ入場はできない約束に
なっているはずなんですが」
「そうらしいな。 だったら西村先生に坂本が訊ねて来ていることを伝えてく
れないか」

 面倒くさそうな雰囲気がぷんぷんしてきている。 後に引かない俺に困り果
てた受付けの男は仕方なく席を外したのである。

「坂本さん、だから言ったじゃないですか。招待状なしでは入れないって……」

 いつ死体が転がるかもわからぬ披露会だ。 誰でも簡単に招待してしまえば
首謀者が困ってしまうことになりかねん。 だから、都合のよいお客でなけれ
ば招待されないことになっているのだ。

 もしも招待無しにその現場を覗いた場合。 一つ間違えれば死体となって葬
られるとも限らんのだ。

 仲介の男が心配しながら顔色を変えたのも無理はない。

 しかし、それ以上に顔色を変えていたのは慌しく帰って来た受付の男であった。

「も、申し訳ありませんでした、坂本様。 お連れの方の隣に特別席をご用意
させて頂きましたのでごゆっくり御観覧下さいませ」

 飛んで火に入る夏の虫とは、誰でもなく俺のことを言うのかもしれん。

 意味ありげに笑っている西村の顔が浮かぶぜ。 色々な企みを思い浮かべ、
俺をどういう形で葬り去ろうかと西村は考え、俺を特別に招いたに違いない。

 まるで闇のような会場の中、後戻りできぬ俺は一歩を踏み出した。


 暗闇の中、三十人近い接待客がそれぞれのテーブルに集まっている。

 アイマスクを被った奴らは政界で名を連ねる大御所のはず。 中には綺麗な
衣装に身を纏った女の姿も見えた。 条件が揃えば、披露会に連れて来られた
生贄らを今晩買い求めていくつもりなのだ。

 そして、それを期待している連中の拍手喝采で披露ショーが始まった。

 まずステージに登場したのは米田と言う男。

 千佳の母親、日下部千鶴を購入した男なのだ。

「皆様、ようこそいらっしゃいました。 本日のお披露目会には二名の商品を
紹介する予定でおります。 数は二名と少ないと思われるでしょうが、その分
密なショータイムを計画しておりますのでごゆっくりと観覧下さいませ」

 二名の商品、それが千佳と母親の千鶴であることに間違いない。

二.

 妖艶な照明がステージに灯る。 静まる客席。

「まず最初に、私が購入しました商品を紹介致します。 清楚な人妻で有名な
某大手会社夫人、歳は四十五歳、名前は千鶴でございます」

 真っ赤な照明がステージの袖を照らした。 どよめく中、袖から一人の女が
引っ張られる格好で登場してきたのだ。

 目鼻立ちがくっきりした美貌、グラマーな肉体のラインを露にした気品あり
そうな人妻が全裸で登場してきたものだから観客は言葉を失っている。

 いや、品定めをしていると言った方が正解かもしれん。

「さっさとステージの中央に出向いてお客さんに挨拶するんだッ」

 男が鎖のたずなを引くと人妻千鶴は真っ赤な首輪と共にステージの真ん中に
立たされた。

「ひいいいいっ!! なっ、何なのここはッ!!」

 目の前の暗闇、その中に見える人影に驚愕している千鶴。

 成るほど…… 写真で確認はしていたが噂以上に美形な母親だ。 数ヶ月の
間、男らに食い物にされたにしては実に品のある美しさを醸し出している。

 しかし、怯えるその表情が客席の連中を熱気に包んでいるとは思うまい。

「今日は、お前の凌辱ショーをお客様らに披露する特別な日なんだっ。 いつ
も通り、買ってもらったお客様にするように自己紹介をするんだ」
「りょ、凌辱だなんて…… あぁぁそんなっ……」

 衝撃を受けた千鶴は素っ裸の身体を両手で覆い隠す。 だが、はち切れんば
かりの熟した肉体は、どこを覆ったところでその羞恥から逃げ隠れすることは
できない。

 わなわな震える千鶴は、隣の男に頭を押さえつけられると額を床にぴったり
くっ付かせて卑猥な挨拶をしかたなく始めた。

「く、日下部…… 千鶴でございます…… 淫乱な、人妻でございますので、
思う存分に…… どうぞ、い、甚振って…… 下さいませ……」

 その美声を聞き取ろうと客席は静まり返っていたが、熱気は上昇するばかり
であった。

 その中、美人人妻は惨めさと屈辱的な喝采を浴びながら深々と頭を下げてみ
せたのだ。

「それで終わりじゃねぇだろ? 続きの挨拶を皆さんにお見せするんだよっ!」

 今度は逆に鎖を引っ張られ、恐々と立ち上がった千鶴は身体を反転させると
見事に尻肉を披露させたのだ。 ふっくらと揉み応えありそうな尻の肉、もた
もたしている千鶴のその尻肉に鞭が飛んできた。

「ぎいいいいいっ!!!!」

 肉が切り裂かれる音と同時に、女の甲高い悲鳴が室内に響き渡った。

「さっさと挨拶しねぇともう一発ぶってやるぞっ! それでもいいのかぁ!」
「ひいいいっ! お、お許し下さいっ! 言われた通りに挨拶を続けますから
だから鞭だけは許して下さい」

 鞭を持った手、それを真上に上げた男に怯える千鶴は前屈みになった姿勢を
とると、尻肉を両手で鷲掴みして見せるのだ。

 餅のように伸びた尻肉、その真ん中に見える小さな肛門に集中する客人。

 美人熟女は更に肉を押し開き、あられもない女の秘部を曝け出す。

「四十五歳…… ち、千鶴の熟れた…… あぁぁ、熟れた、ま、ま○こをご覧
下さいませ……」
「へへっ、見て下さいっと言ってもそんくらいじゃぁお客様には見えていねぇ
に決まっているだろ。 もっと見て欲しいなら中身が見えるように両手でおも
い切り開いて見せるんだ」

 見えていない?

 そんなはずなかろう。 客人が座るテーブルにはしっかりとモニターが設置
してあり、気品ある女性として生きてきた人妻の綺麗な陰部がくっきりと映し
出されているのだ。

 何も知らずに薄い襞を広げてみせる人妻。

 ぶるぶると震えている尻肉に、貴婦人のプライドがずたずたに切り裂かれて
いく切ない姿が見え隠れしていた。


三.

 客人の熱気が、真っ赤に熟した千鶴の割れ目を更に燃え上がらせようとして
いるのがわかる。  そして、嫌でもその視線に順応するように仕組まれてし
まった熟女の千鶴は、サディズムらの熱気に応えるかのように膣口の収縮を繰
り返してみせた。

「千鶴、これからが本番だぞ。 今まで感じたことの無い快感を思う存分に味
わらせてやるからな。 へへへっ、今まで上品に育ってきたお前の過去を全て
葬ってやるぜ」

 その言葉に反応する異常性欲者の連中。

「こ、これ以上、こんな辱めを受けるのはいやぁ……」

 縄を持つ男に怯える千鶴。 しかし、逃げる間もなくまずは後ろ腕に縛られ
た人妻は、その次に上半身を二重、三重にと縄で拘束されていく。

「皆様、実を言いますとこの商品、本格的に縄で縛られての調教は本日が初め
てでございます」

 緊縛処女の人妻を甚振ってやりてぇとばかりに、観客からは大きな歓声が沸
きあがった。

 すると、煽る客席を諭すように米田という男は深々と頭を下げてみせたのだ。

「申し訳ございません! ふふっ、本来なら皆様全員に緊縛をお願いしたいと
ころではあるのですが、残念ながら都合により本日は二名のお客様にお願いす
ることといたします」

 二人のお客と言う言葉にいち早く反応したのは千鶴であった。

 聞いた話によると、母親千鶴を買い求めるには二人組という設定が第一条件
になっていたそうだ。  毎日のように二人組みの男から甚振られ、そして、
濃厚な交わりを強要されてきた千鶴。 二人組みと聞いたその恐怖に反応して
しまうのも無理はあるまい。

 しかし、なぜ二人組みなのだろうかと美人妻は考えたことがあっただろうか。
その要素の意味をまだ知らない千鶴は後にそのことを知ることになる。 そし
てそれを知った瞬間、千鶴は凌辱と羞恥に呪い狂わされることになるのだ。

 だがその前に、この世界の本当の恐ろしさを洗脳されることが先決だとばか
りに千鶴はステージの真ん中に立たされた。

「上半身を拘束されたこの商品こと某食品会社元夫人の千鶴四十五歳、引き続
き調教をお任せするお二人を決定する為に、ただ今より競売に移らせて頂きま
す」

 競売されることを知った人妻千鶴は驚きを隠せないでいる。 金で肉体を売
られる現実に信じられない様子を見せる人妻を、これもまた信じられない金額
が掲示されていく。

 二百万、三百万と百万単位で値が上っていくのだ。

「二人で一千万!」

 破格な金額に場内がどよめいた。

 驚きと悔しさの歓声が沸き上る中二人の男が名乗りを上げたのだ。

「他に声が上らないようなので落札者を決定致します。 そちらのお二人!
本日はおめでとうございます」

 意味ありげに笑っている主催者の男こと米田、そして落札した二人の男らと
目配せをしているのがわかった。 つまりこの二人の男によって千鶴は買い求
められるように最初から仕組まれていたと言うことだ。

 拍手の中、マスクを被った二人の男がステージへ上ってくると、恰幅に凄み
ある男らに恐れをなした千鶴は、あまりの恐さに後ずさりさえしてしまうほど
であった。

「あと一千万足してでも甚振ってやりてぇ身体付きをしていますなぁ。 へへっ、
奥様、縛られた感想はどうですか?」
「い、いやっ! 見ないでっ!」
「くくくっ、いいねぇ、そうやって怯えている表情もまた責めがいがあるって
もんだ」

 からかうように男は千鶴の乳首をピンと指で弾ませ、その刺激に反応してし
まう人妻の恥かしがる表情を楽しみながら不思議な言葉を連ねる。

「縛る前に一つ伝えておきたいことがありましてね、奥様。 いや、千鶴奥様
と、今まで通りの呼び方で接した方が宜しいでしょうかね? へへっ、千鶴奥
様」
「そうそう、例えオレ達の奴隷に成り下がったとしても今までお世話になった
あなた様を名指しで呼ぶなんてできませんよね。 千鶴、奥様、いししっ」

 まるで知り合いであることを強調させてみせる二人の男。

 一方の千鶴は、信じられない二人の言葉に柔肌の肉を震わせるのであった。


四.

「だ、誰…… 貴方達は一体誰なんですか……」

 一人は大柄で体格のよい男、もう一人の男は中肉中背で共に中年の男である
ことに間違いはないようだ。

 まさかこのような卑猥なステージに知り合いがいるなどと思いもしない千鶴
は、特徴あるこの二人の体型に何かを思い出したようだ。

「まっ、まさか!! まさか貴方達は、部長と課長ですかっ?!」

 驚愕する人妻千鶴。 そして、男二人は顔を見合わせ不敵な笑みを見せた。

「さすが千鶴奥様。 長年お供させていただいただけあり、この容姿だけで私
らだと理解して頂けるとは。 これ以上の祝福はありませんなっ! あはははっ」

 部長と叫ばれた体格の良い男は杉田、中肉中背の課長は浅井と名乗った。

 部下に会社を乗っ取られる。 世間ではよくある話しだ。 千鶴らもその波
に呑み込まれてしまい、裏世界に売られてしまったということだ。

 全てはこの二人の男によって幸せな家庭が深い闇に陥れられてしまったこと
を知恵が働く千鶴は直ぐに理解したことだろうが、だが、悔やむ前にいかんせ
ん人前に曝される姿でいられない場面に動揺を隠せない。

 そこを見逃さない二人の男は、千鶴の羞恥心を煽り始めた。

「和服姿がよく似合う千鶴奥様でしたが、いやぁ、帯びに縛られた千鶴奥様よ
りは縄に縛られたこの破廉恥な格好の方がよくお似合いですなっ」
「オレは洋服姿の千鶴奥様が好きだったなぁ、ワイシャツの胸元から見える胸
の谷間…… ブラジャーに隠されていた胸がこんなにイヤらしい形をしていた
とは想像以上でしたなっ、いやぁ絶品!絶品! ははははっ!」

 縛られた身体ではどうしようもできまい。

「それだけじゃない、実を言いますと先ほど千鶴奥様が自分の恥かしいアソコ
を広げて見せてくれましたが、あの場面はしっかり私らの手元のモニターが映
し出していたのですよ。 しかも千鶴奥様の尻の周りの毛までもが鮮明にね」

 嘘だ…… と、言いかけた千鶴の目の前に大きなスクリーンが映し出された
のだ。

「へへっ、今映し出されている映像が何かわかるだろ?」

 米田が指を差したスクリーンに拡大された乳首が映し出されていた。

「これと同じものが皆様のテーブルの上に設置してあるモニターには映し出さ
れているんだよっ」

 縄と縄の間にふくよかな二つの脂肪が突き出し、その真ん中で真っ赤に充血
している乳首が自分のモノであることに千鶴は嗚咽を漏らした。

「隠そうたって、あちらこちらに仕掛けられたカメラに狙われては逃げも隠れ
もできねぇようになっているんだ」

 米田の言葉に思わず上半身を捻じりカメラのアングルから逃げる人妻の乳首。
しかし、別の方角からの映像に切り替わるとまた千鶴の乳首が映し出されてし
まったのだ。

「あぁぁ…… いやぁぁぁ……」
「言ったはずだ、逃げられねぇってな。 へへっ、そんなに恥かしい声を出し
やがってそんなに嫌か? だったらこんな映像はどうだ?」

 米田の合図で映像が切り替わった。

 黒々とした茂みらしきモノが映し出され、一瞬それが何を映し出そうとして
ているのか千鶴は不思議におもったことだろう。

 しかし客席の生唾を飲み込む音を聞き取った千鶴は、直ぐにその異様さに気
付くと同時に太腿を急いで閉じようと力む。 しかし、一瞬早くそれを阻止し
ようとするものが二人、それが杉田と浅井の二人であることは言うまでもない。

「いしししっ、もう一度、千鶴奥様のま○こを皆様に披露してさしあげましょ
うじゃありませんか」

 逆に大股に開かされてしまった千鶴の目の前に、あられもない女の陰唇が恥
かしくも映し出されてしまったのである。


続く