女流作家 小夜子(3)




4、キャンベラの夜

 ヒュームハイウェイから、ハンドルを左に切り、キャンベラの街に入ったのは午後
六時を回っていた。だいぶ日が延びて、太陽はユーカリの木立に陰を落としなが
ら、まだ西の空に懸かっている。
 街に入ると、直ぐ、ころあいのモーテルに車を寄せた。
 シャワーを済ますころには、すっかり辺りは闇に包まれた。余り食欲がわかない。
無理もない、旅に出て以来、乗るか、寝るか、食べるかの連続だ。
 ショッピングセンターで、ベトナム料理店を見つけた。そこで日本のきし麺に似た、
牛肉うどんを軽く腹に収めると、街外れのアインスリー山に向かった。
 日の暮れた登山道には、すれ違う車もない。セカンド・ギアで軽い唸り音を上げ
ながら、車は左右の木立にヘッドライトを投げかけながら進む。まもなく頂上に
達し、車寄せに乗り入れる。
 標高八四二メートルの山頂からは、正面遥かにキャピタル・ヒルの、連邦議会
議事堂を望む。眼下には、星空を反射するかのように、キラキラと灯火のまたた
くキャンベラの街が、一望に広がる。
 車を降りると、星明りの中を健二は、小夜子の手を引いて展望台の手すりに導く。
底知れぬ漆黒の空を、ミルク色の大河がうねる。天の川だ。
 健二は小夜子を手すりに掴まらせると、肩を抱いた。小夜子のうなじが、遥か天空
から注ぐ天の川のかすかな光に映えて、白く浮き上がる。
 「小夜子さん、きれいだよ」
 「本当にきれいなお星様ね」
 「星もきれいだけれど、君はもっときれいだよ」
 「暗いから、きれいに見えるんでしょう」
 小夜子は、健二の言葉に照れて、思わず減らず口をたたいてしまったが、胸には
暖かいものが満ちた。健二は、襟足に唇を寄せた。
 「うっ」
 小夜子は軽く呻いて肩を震わせると、振り向いて健二の唇を求めた。濡れた唇の
中で、舌が絡み合った。唾が溢れ、健二は舌ごと吸い込むと、喉に落とした。
 健二は、小夜子を両手で手すりに掴まらせると、後ろに回った。ブラウスの下から
差し込んだ健二の指先が、乳房を覆い、乳首を探る。愛撫する間もなく、乳首は
勃起する。
 「健二さん、あたし怖いわ」
 「なにが」
 「感じるのが早くなって、健二さんに触られるだけで、欲しくなってしまうの」
 「僕も欲しい」
 「このままいったら、のべつ欲しくなって、止め処がなくなってしまう」
 健二は、ズボンの前を開いた。いきり立つ男根を、後ろから押し付ける。スカート
を腰まで捲り上げ、パンティの上から、腿の間に差し込む。
 「人が来るわよ」
 「こんな時間に来る人なんかいないよ。来たって、キッスをしているくらいにしか
見えないさ」
 小夜子の腰がもじもじと蠢くと、男根はさらに膨れ上がった。健二は、腰を落とす
と、両手を小夜子のパンティにかけて、引きずりおろす。
 柵に持たれて、腰を後ろに突き出した小夜子の二つの小山が、白く浮き上がる。
小山の中央の谷間に、指先を差し入れる。
 割れ目に沿って内股をたどると、ヌルヌルに濡れた膣口、更に指を進めると、恥毛
のサヤサヤとした感触が、指に伝わってくる。指先が、おサネを探り当てると、
健二の男根はそりを打って、ピンと跳ね上がった。
 指と入れ違いに、亀頭を割れ目に誘導する。
クイクイクイ
 「フゥ〜っ」
 小夜子は、胸の息を吐き出すと、指を股間に延ばして、おサネの下に突き抜けて
来た亀頭を掴んだ。その指先に、鈴口から溢れる粘液がからまる。指先は、興奮
に震えながら、亀頭を撫で回し、雁首に粘液を塗りたくる。
 健二は、両手で小夜子の腰を支えると、ゆっくりと腰を前後させた。
亀頭は、小夜子の指の上を滑って、おサネを下から突き上げる。
 小夜子は、亀頭をおサネに押し付けて、激しく腰をゆすった。おサネが、クリクリと
雁首を擦り、雁首は熱気を帯びて、えらがクワっと広がった。
 「もう我慢できない」
 鈴口から漏れる粘液がさらに割れ目をぬらし、おサネの下から亀頭をすりあげて
行くと、むくれ上がった雁首は、ビッチョリ濡れた土手下を割って一気に登り、
膣口をかすめてアナルの壷で止まった。
 健二は、一度腰を引くと、武者震いする男根を指で支えて突き上げた。剛直し
反り返った肉棒は、穴に突き立った。小夜子の尻が、緊張して肉棒を挟む。
 「小夜子っ」
 小夜子の後ろ髪に向かって声をかけると、亀頭の先端に渾身の気を込めた。
ククッゥ〜ヌル〜っ
 小夜子はびっくりした。いきなり健二のペニスが、アナルに入ってきた。
 「違う、ちがう、健二さん、違うわよ」
 「えっ、何が?」
 「穴が違うわ、あなたあたしのお尻に・・・」
 「ごめん、暗くて見えないから・・・でも、もう半分入っちゃた。このまま入れさせて・・・」
 健二は、支えていた陰茎から手を離し、両手で小夜子の尻を左右から抱える。
 「うんむっ」
 小夜子の尻を引き寄せると同時に、腰を突き込む。
ムニュッ
 陰茎の包皮が扱かれて、雁首の周りに軽い痛みが走る。股ぐらに、小夜子の尻
の肉が密着し、進入は止まった。肉棒は激しく締められて、血管がずきずきと疼
く。
 健二は、尻を支えていた手を前に回し、小夜子の陰毛の上から股間を押さえ込む。
愛液にまみれたおサネと花びらが、指の中で蠢く。
 小夜子は、痛かったに違いない。せめてもの償いに、健二は精一杯の優しさを込め
ておサネを愛撫する。股間に密着した小夜子の豊かな尻の感触に、新鮮な性感を
感じる。
 「小夜子、凄いよ」
 二度、三度、腰を使うと、括約筋にシックリと締め付けられた肉棒は、その強烈な
扱きで、たちまちに絶頂に達した。雁首がピクッと疼いて、精液が迸り出た。
 精管から陰茎に進んだ精液は、狭いパイプを押し合いへし合い、突進する。圧力
の高まった精液は、雁首を通り抜けると、一気に開放されて、小夜子の腸内に噴
出した。
 「オオオォッォ・・・」
 痛痒い快感が、亀頭から肉棒を伝わって陰嚢に走る。健二は、小夜子の腰に手
を回し、抱き寄せると、目一杯に腰を押し込んだ。すべての動きが止まると、天
を仰いだ。満天の銀世界に、巨大な天の川が、天空の端から地の果てまで、うねっ
て流れる。健二は、息を吸い込んだ。夏とはいえ、キャンベラの夜は冷え込む。
 男根が波打って、さらに精液を放った。
ビユゥッ
健二は、遥か彼方、キャピタル・ヒルの丘に、ライトアップを浴びて輝く連邦議会議事堂
の屋根にも届けと、さらに放った。
ビユゥッ・・・ビユゥッ
 「健二さんっ」
 小夜子の悲鳴に似たむせび声が、暗闇から漏れてくる。
 「小夜子っ」
 外気の冷たさに比べて、股間は熱気がこもって気持ちがいい。小夜子が、健二の
股間で、おずおずと尻を動かす。
「小夜子、痛くなかったかい、愛してるよ」

 萎えた男根を、小夜子から抜き取ると、小夜子の腰が崩れた。健二は、ずり下ろし
たズボンが足に絡まって、よろけた。やっと、足を踏みとどめて、小夜子の尻を
膝の上に支える。
 足元の小夜子のパンティを拾うと、小夜子の脇を支えて車に戻る。健二が席に腰
を下ろすと、小夜子は健二の首に縋ってシクシクと泣き出した。
 「ごめん、ごめん」
 健二は、小夜子の肩を抱くと、顔を覗き込んだ。
 「そんなつもりじゃなかったんだ。真っ暗で見えなかったから。小夜子は、初めて
だったんだね」
 「いいのよ、健二さんがそうしたいんなら、私はかまわないのよ。ただ、最初、健二
さんが、入れるところを間違えたのかと思ったの、・・でもそんなことないわよ
ね、私って馬鹿なんだから」
 「いや、君のいうとおり、間違いだったんだよ。僕も初めてだったんだ。でも、とても
よかったよ、強烈だった。」
 「健二さんも初めてなの。じゃ私たち、アナル処女と童貞の初契りだったのね」
 「そのようだ。痛かったかい。もうしないから」
 「いいのよ。好きな人が悦ぶなら、少し位の痛みに耐えるのは、むしろ女冥利だわ」
 小夜子は、健二の胸に顔を埋めると、身体を震わせて泣いた。健二も、小夜子の
身体を両手で包むと、髪の毛に頬を寄せた。
「小夜子、君は・・・、君はなんて可愛いんだ。今日のことは死ぬまで忘れないよ」
 小夜子の身体が、更に激しく震えた。


 小夜子は健二より一足早く目を覚ますと、備え付けのヶトルを使って湯を沸かし、
コーヒーを入れた。
 「健二さん、起きてぇ・・・」
  モーテルの部屋の前のテーブルにカップを並べる。 藍を流した様な朝空、ユーカリ
の梢を通して木漏れ日が注ぐ。日の未だ昇り切らないキャンベラの朝風は、ひん
やりと冷たい。
  (おままごと見たい)

 カップにコーヒーを注ぎながら、小夜子はウキウキとする自分を可愛いと思った。
娘のころ、未来の夫を夢見て、ああもしたい、こうもしようと空想したものだ。
還暦の歳になって、夫でもない男と夜を過ごし、昔、夢に見たシーンを演じてい
る。
  椅子に腰をおろし、足を組むと、カップを口に運んだ。そろそろ健二が起きてくる
ころだ。 小夜子の胸が高鳴る。
 (まるで新婚の朝だわ)
  お尻の周りが、ウズウズと落ち着かない。
 (健二さんも、初めてだったなんて)
  頬から耳に血が上ってくる。
  昔、“処女膜の張替え“、なんて流行り言葉があったのを思い出す。
 (処女が二回あるなんて、考えても見なかったわ。今時、処女にこだわる人は
余りいなくなったけれど、健二さんは喜んでくれた)
 お尻の疼きが嬉しい。
 カチャッと、ドアの取手の音がする。小夜子は、どんな顔をして、健二の顔を見
たらいいのか、思い惑った。
 健二が、テーブルに近づく。小夜子は、頬がカッカと火照るのを感じながら、膝
の上の手に目を落とした。


続く