Secret Face 第二夜
朝。目が覚めた。頭がぼんやりしている。俺は自分のベッドにいた。夕べのことは夢だったのか?
アパートで一人暮らしだから、夕べのことを現実か夢か気づかせてくれるような人物はいなかった。
簡単に朝食を済ませ、部屋を出た。すると、管理人のおばさんが立っていた。
「もう大丈夫なのかい?あんた、昨日は相当酔っ払ってたみたいで、お友達がここまで連れてきたんだよ。で、鍵開けてくれってあたしのところ来たんだよ。
だから、ちょっと心配で様子を見に来たんだけど、すっかり元気みたいだねえ。やっぱり若い人は違うねえ。」
そうか、そう言えば誰かに運ばれていたような記憶が残っている。戸谷が俺をここまで。
「ご心配をおかけしてすみませんでした。」
軽く頭を下げ、おばさんと別れた後、会社へと足を急がせた。
通勤。会社までは電車で50分ほど。そんなに混んではいないため、案外楽に座れる。
季節がらか、肌を出している女性が多い。目に入る度、彩華という女性の姿が頭に浮かび上がった。俺の視線に気づいてか、女性がこちらを見る。我に返っ
て、慌てて視線をそらす俺。
そうこうしている内に、最寄りの駅に着いた。
第二営業課。俺の職場だ。俺の会社は外国からの輸入雑貨を主に扱っていて、それを小売店に卸している。各小売店に雑貨を売り込む、それが俺の仕事だ。
俺のいる部署に入ると、戸谷が近づいてきた。身構える俺。
「よお、夕べは大変だったぞ。飲みまくった挙句酔いつぶれちまうんだからな。それでアパートまで運んだんだからな。それと、勝手に申し訳ないがお前の財
布から酒代もらっておいたぞ。4万。2件目が高級クラブだったからな。俺も今月これですっからかんだ。」
そうか、やはり夢だったのか。彩華はいい女だったので残念だが、戸谷の女装姿はたとえ夢でも二度と見たくない。
「そうだったらしいな、すまなかった。」
お互い薄っすら笑みを浮かべた。
自席。デスクのパソコンを立ち上げた。俺の机の隅に紙コップが置かれた。
「あの・・・・・・コーヒーです。」
ちょっと子供っぽい、高い声がする方を振り向くと、高原真衣、彼女が立っていた。
薄く茶色に染めたロングのストレートヘア。目がくるっとして可愛らしい。唇は淡いピンク系で少しグロスが光っている。
俺より2つ後輩の彼女は、みんなが注目する美人でもなく、どちらかと言うと目立たない存在だ。だが、よく気がつくというか、俺の気持ちを察してくれる。
そう、道端にひっそりと咲きながらも俺の心を和ませてくれるタンポポのような。
今も俺のテレパシーを感じ取ったかのようにコーヒーを入れてくれた。
「サンキュー。」
彼女が運んでくれたコーヒーを早速口にした。
高原は軽く会釈をして離れていった。
さあ、今日も仕事開始だ。
街中。午前中得意先を回った俺は会社に歩いて向かっていた。すると、高原真衣が歩いていた。主に内勤の彼女だが、何かの用事で外へ出ていたようだ。
高原に声をかけた。昼も近いことだし、たまにはということでメシに誘った。
うちの会社は営業職が多いせいか、昼休みといった時間は特に決まっておらず、キリのいい奴から昼食を摂る。
営業で外にいる俺は大抵1人寂しくコンビニで買ったパンをかじって済ませていた。
夕べ大出費したにも関わらず、可愛い後輩と一緒ということで少し見栄をはることにした。
レストラン。周りには俺達と同じような会社員風の連中が多い。
ウエイトレスが注文を取りに来た。
俺も彼女も和風おろしハンバーグ定食を注文した。
注文後、2人ともしばらくだまり込んでしまった。彼女は視線を少し下に落としていた。
「急に誘ったりして悪かったな。他の奴といつもメシとか食ってるんじゃないか?」
沈黙後、口を開いたのは俺だった。
「いつも1人です。」
彼女はそう答えた。
そう言えば、時々彼女が公園で1人弁当を食べているのを見かけたことがある。仲のいい同僚とかいないのだろうか?
「お待たせしました。」
料理が運ばれてきた。
俺も彼女もハンバーグを口に運んだ。
「うまい。」
「おいしい。」
2人共同時に声を出した。そして、お互いの顔を見つけてるのに気づき2人で笑い出した。
「私、小さい頃からハンバーグが大好きなんです。」
「俺もだよ。」
「私達気が合いそうですね。」
ハンバーグの話題で盛り上がった。
食事が終わり、コーヒーが運ばれてきた。
俺はブラックのまま、彼女は砂糖、ミルクをたっぷりと入れた。
「おいおい、それじゃあカフェオレじゃないか。」
「だって、苦いコーヒーはあまり好きじゃないんです。でも、ミルクとか頼むのも恥ずかしいから、いつもこうして砂糖とミルクで甘くして飲んでるんです
よ。」
彼女の言い分があまりにも滑稽でつい笑いが込み上げてきた。
「あ〜、今子供だって思ったでしょ!?」
高原はちょっとむくれてみせた。そして彼女も笑い出した。
2人の間の距離が少し縮まった気がした。
午後の社内。少し派手なピンクのブラウスの女性が俺の席に近づいてきた。
「桐生さん、クライアントに提示する商品なんですが、これなんかどうでしょう?」
宮末晴奈が商品の資料を持ってきたのだ。この女は高原とは打って変わって人目を引くいい女だ。
細かくパーマがかかった明るい茶色の髪を、前髪・後ろ髪一緒にポニーテールにしている。旅行に行くのが趣味らしく焼けている。目は切れ長でベージュの口
紅を引いている。
性格もさっぱりとしていて、お姉様系というかワイルド系で部内の男達にも人気がある。
「うん、いいんじゃないか。」
「早速、資料まとめますんで、一緒にクライアント先に行っていただけますか?」
まったく手際がいい。容姿端麗、仕事もデキる女。男達が放っておくわけがないだろう。
夕暮れ。クライアント先からの帰り道。
「先方の部長に気に入ってもらえてよかったですね。」
「ほんと。宮末、お前ってセンスいいよな。」
「いいえ、桐生さんがクライアントに強く奨めて下さったおかげですよ。」
お互いを誉めあいながら、会社には寄らず帰路に着こうとしていた。
「そうだ、せっかくだから一杯飲んでいきません?」
宮末の提案に賛成した。
「そうだな。2人で祝杯を挙げるか。」
こうして俺達は近くの居酒屋になだれ込んだ。
居酒屋店内。まだ早いせいか、客はちらほらだ。
頼んだ生中がやってきて、つまみも置かれた。
「じゃあ、今日の成功を祝ってカンパーイ!!」
まだこれから酒が入るというのに、既に酔っ払っているかのように元気がいい。ノリのいい女だ。
酒が進み、しばらくして彼女が聞いた。
「ところで桐生さんって、彼女いるんですか?」
ズケズケと聞いてくる。
「いや、いないよ。なかなか見つからなくてな。」
「じゃあ、あたしが彼女になっちゃおっかな〜。」
隣に座っていた彼女は俺の左腕にしがみついてきた。
昼間の宮末はキャリアウーマンでかっこいいが、こうやって酒が入って甘える姿も可愛い、そう思えた。
「おいおい、離れろよ。恥ずかしいじゃないか。」
「桐生先輩、晴奈のこと嫌いなのぉ〜?それとも照れてるのかな?可愛い。」
やれやれ、酒癖の悪い女と一緒に酒を飲んでしまったか、そんな感があった。
夜道。宮末晴奈と別れた俺は1人自宅に向かおうとしていた。
近くまで送ろうとした申し出を断り、ふらつく足で彼女は夜の闇の中へ消えていった。酔ってもプライドだけは忘れていないという感じだった。
ふと、夕べのことを思い出した。本当にあれは夢だったのだろうか?
わずかな記憶を頼りに昨日歩いたと思われる道をたどっていった。
すると、夢で見たはずのネオン街の光景が視界に入ってきた。
客引きの従業員、それにつられて店に入っていく、スケベそうな顔をしたサラリーマン風情の男達。
夢だと今日1日信じていた光景に酷似していた。
ネオン街をしばらく歩き、少し寂しいところに来た。戸谷と歩いたのとまったく同じ風景だった。
その時、俺の少し前を女が歩いていた顔までははっきりわからないが、黒のショートヘアにハーフコート、それと肩にかけたボストンバッグ、あの女王に似た
雰囲気だった。
たまらず、その女の後を追った。
気づかれないように少し距離をおいて歩いた。気配に気づくこともなく、彼女は振り返ることもせず歩き続けた。
女が角を曲がった。俺もその角を曲がった。
すると、その女が俺の目の前に立ちはだかっていた。
「何、人の後コソコソとつけてるんだい!?このストーカー野郎!!」
その時、顔をはっきり見た。間違いなく九竜彩華女王だった。
「さ、彩華様っ!」
思わず俺は敬称をつけて彼女の名を呼んだ。
「ケイ、お前は変態だけど、ストーカーだとは思わなかったよ。」
「い、いや、これはその・・・・・・。」
「今更言い訳なんかしても無駄だよ!ストーカーは犯罪なんだ!そんなこともわからないのかお前は!?」
釈明の機会は与えられなかった。
「こんなことをしたらどうなるか、あたしが身をもって教えてやるよ!来な!!」
蛇に睨まれた蛙のように俺は動けなくなった。彩華様はそんな俺を無理やり近くのホテルに連れ込んだ。
ホテルの一室。何号室の部屋かも確認できていない。鍵は彩華様が持っている。
「さっさと服を脱ぎな!」
彩華様の怒号が飛ぶ。
何でこんな目に、と思いながらも体は徐々に服を脱いでいく。俺の体はこの状況を受け入れてしまっているというのか。
服を脱ぎ、最後のパンツを下ろした。
「あれ〜、叱られてるのに何でソコは大きくなっているのかな〜?このド変態っ!」
彩華様が近づき、両方の頬にビンタが飛んだ。
「変態っ!変態っ!!」
ピシッ、ピシッ!!
変態の言葉に合わせて頬に痛みが走る。それにも関わらず、まったく怒りが込み上げてこない。
頬がかなり真っ赤になった頃、ビンタが終わった。
次にバッグから何かを取り出そうとしていた。
「今日は昨日のように優しくはないよ。何て言ったってお前は犯罪者なんだからね。」
一本鞭を振り下ろした。
「背中をこっちに向けてごらん、早く!!」
俺はドキドキしながら床の上に四つんばいになった。
ビュンっ!!
空を切る音がした瞬間背中に激痛が走った。
「うわああぁぁっ!」
昨日と同じ、いや、それ以上に激しい痛みだ。
「一人前に痛がるんじゃないよっ、この犯罪者がっ!!」
「た、助けて・・・・・・。」
俺は悶え苦しんだ。
「許してほしいかい?だったらちゃんとあたしに謝りなっ!!」
「す、すみませんでした・・・・・・。」
「謝る時は土下座するのが常識だろ!?さっさとこっちを向きなっ!!」
鞭の雨が止み、俺は彩華様に頭を向け土下座をした。
「もう二度としません。お許し下さい!」
すると、彩華様は俺の体をそっと抱きしめた。
「痛かったかい?でもね、女はこんな痛みとは比べることができない男達からの痛い視線を浴びてるんだよ。いつ自分が危険な目に合うかわからない恐怖と
戦っているんだよ。」
彩華様の優しい抱擁に、無意識に目から涙が溢れ出た。
「お許し下さい、彩華様。お許し下さい・・・・・・。」
何度も何度もつぶやいた。そして、この方の命令に従おうと心に誓った。
少し時間が経過して、彩華様は俺から離れられた。
「じゃあ、もっと女の子の気持ちを理解してみようか。」
そうおっしゃられると彩華様は太い棒の突いたベルトを腰に巻かれた。
「さあ、このディルドをフェラしてごらん。」
ディルドとは、その棒状のようなもののことのようだ。男性の性器によく似ている。
俺はそのディルドを舐め回し、そして口一杯にほおばった。無我夢中でむしゃぶりついた。ちょっと固めだが表面はプニュプニュしている。フェラしている
こっちが気持ちよかった。ヘルスやソープで嬢が俺のアレをフェラしている時も同じ気持ちだったのだろうか。
「今度はお前の後ろの口でフェラしてごらん。」
俺は彩華様にお尻を向けた。
間もなくディルドが俺のアナルに挿入された。
「ああん、う〜ん。」
まるで女のようなよがり声を出す俺。
「うん、いいよ。だんだん女の気持ちがわかってきたかい?」
「は、はい、彩華様・・・・・・。女ってサイコー!!」
まだ酒が抜けていないせいか、頭がぐるぐる回ってきた。
彩華様はこれ以上は危険と判断されたのか、プレイを止められた。
「もっと楽しみましょうよ。夜はこれからですよ。」
せがむ俺。
「お楽しみは先に取っておいた方がもっと楽しくなるじゃないか。」
我がままを言う子供をなだめる母親のように彩華様は俺に優しく語り掛けて下さった。
そして、服を着た俺のワイシャツの胸ポケットに何かを入れられた。
「あたしの名刺。会いたくなったら連絡しておいで。」
不本意ながらも、彩華様に別れを告げホテルを後にした。